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最高裁判所第三小法廷 昭和33年(オ)478号 判決 1960年9月13日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人木原徳太郎、同井出政敏の上告理由第一点について。

両商標が類似する理由の説明については、裁判所は当事者の主張にとらわれるものではない。論旨は、これと反対の見解を前提とするもので採り得ない。

同第二、三点について。

原判決は、被上告人の登録商標は二重の同心円の第一の円周と第二の円周との間を塗り潰した図形によつて構成され「蛇の目」印と呼ばれているものであり、上告人の「イ」号標章は塗り潰された太い円形の輪廓と、これと同心円をなす藤の花を図案化した輪の図形によつて構成されたものであると説明し、両者はいずれも「蛇の目」すなわち二重の同心円を構成の基本とするもので、その外観、観念においてまぎれ易いものであると判示したのであつて、その判断は首肯するに足り所論のような経験法則に反するところはない。所論は独自の見地に立つて原判決を非難するに帰するので、採用できない。

同第四点について。

所論は、両商標の異同については純粋に考察すべきであるとの上告人の主張を排斥し原判決は引用の判例に違反するというのであるが、原判決が所論判例に反するものでないことは判文を対比すれば明らかであり、原判決に違法は認められない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 垂水克己 裁判官 高橋潔 裁判官 石坂修一)

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